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バリューエクスチェンジを提供することで魅力的なクリエイティブを生み出す方法

この記事は、バリューエクスチェンジという考え方に重点をおき、さまざまなクリエイティブを用いて広告を配信することで、消費者とのタッチポイントを維持するためのインサイトをご紹介しています。

M&C Saatchi Performance社のExecutive Media BuyerであるMegan Price氏は、この記事で紹介した内容を、Remerge (リマージ) のApptivateポッドキャストでもお話ししています。Price氏は、日々のキャンペーンの最適化、レポート作成、クライアントへの電話やQBRのインサイト生成を担当しています。

こちらから、Apptivateポッドキャストのエピソード72を聞くことができます。

第一印象に二度目のチャンスはない

第一印象は大切です。クリエイティブは、ブランドが消費者と接する最初のタッチポイントであり、パフォーマンスマーケティングにおいて重要な役割を果たします。しかし、プログラマティックキャンペーンを実施する際、多くのマーケターはターゲティングのデータと最適化の面に重点を置く傾向が高く、クリエイティブは見過ごされがちです。広告のテストはたまに行うとしても、クリエイティブは常に新しくする必要があります。世界最高のターゲティング戦略を持っていても、ユニークで魅力的なクリエイティブがなければ、パフォーマンスを最適化することはできません。

AppleのiOS 14.5リリース以降、広告のトラッキングにはユーザー自身の許諾が必要となり、優れたクリエイティブを持つことの重要性がますます高まってきています。初期のデータによると、アプリによるトラッキングへのオプトイン率は2%と低く、大多数のユーザーを個別にトラッキングしたりターゲットにしたりすることはできません。

No-IDの世界では、クリエイティブが再びモバイルマーケティング戦略の最前線に立つことになります。マーケターは今まで以上に、より多くの価値を提供しながら、多様な広告フォーマットにおけるさまざまなクリエイティブが与える影響を掘り下げて評価する必要があります。

広告の特徴や魅力とは

完璧なクリエイティブを作るための秘伝のレシピなどありません。もし確実な方法があるのなら、パフォーマンスマーケター全員がとっくにその秘法を適用しているはずですから、テストの必要性はないでしょう。良いクリエイティブの定義とは、常に変化し続けるものなのです。

2019年に増加したモバイルデバイスの利用率は、新型コロナウイルス (COVID-19) の発生とロックダウンにより拍車がかかり、モバイルインターネットの利用率は、ミレニアル世代で72%、Z世代で82%まで増加しました。これらのグループに該当するユーザーは、モバイル上の同じチャネルでも、より多くの広告を目にしています。

さまざまなクリエイティブを用意することは、消費者を飽きさせないための最良の方法です。ディスプレイ広告やアプリ内広告、その他の広告フォーマットに応じたクリエイティブを計画することで、企業は多様な方法でブランドをアピールすることができます。クリエイティブ疲労を防ぐには、同じバナーを何度も表示するのではなく、変化をつけることが重要です。クリエイティブ疲労がたまると、消費者は耳を傾けなくなり、ブランドに注目しなくなります。

バリューエクスチェンジを重視

携帯電話やインターネットプラットフォーム、テクノロジーに囲まれて育ったミレニアム世代やZ世代の消費者は、目にする広告に価値を求めるという意味で、より厳しい要求を持っています。このようなユーザーは、あらゆる種類のマーケティングに慣れ親しんでいるため、すぐに広告を見抜き、バリューエクスチェンジを期待することができます。

価値を提供する最も簡単な方法は、パッシブからアクティブなエンゲージメントへと移行することです。パッシブ広告の例としては、ユーザーが見てクリックできるバナー広告が挙げられます。一方、アクティブ広告の例としては、ユーザーがインストールやリエンゲージメントを通じてブランドと直接接するまで、軽い気持ちで広告を楽しむことができるプレイアブル広告が挙げられます。

他にも、Eコマース (EC)、デリバリー、旅行アプリなどで適用されるような、ユーザーが広告をスワイプしてさまざまな商品を見ることができるカルーセル広告があります。また、COVID-19 のパンデミックの影響により、消費者がより多くの時間スマートフォンを見て過ごすようになったことから、ショッピング広告の人気が高まっています。ショッピング広告はInstagramでよく見られるフォーマットで、消費者は広告で商品を閲覧し、そこから直接買い物をすることができます。ショッピング広告フォーマットでは、購買プロセスにおいて消費者が行うステップの半分を省略できるため、摩擦を大幅に軽減できます。ユーザーは広告をクリックするだけで、すぐにアプリページで買い物ができます。

Spotifyの「Wrapped」キャンペーン

これまで紹介したクリエイティブフォーマット以外にも、マーケターならSpotify社の年に1度のキャンペーンからインスピレーションを得ることもできます。毎年行われる「Spotify Wrapped」は、Spotifyのユーザーがアプリの利用状況を統計的に把握できる機能です。アプリやWebからログイン情報を入力するだけで、その年のトップアーティスト、最もよく聴いた曲やポッドキャストなどが表示されるインタラクティブなランディングページに遷移し、その情報を自分だけの「Wrappedプレイリスト」にすることができます。このタイプのコンテンツマーケティングが普及しデジタルファーストブランドのトレンドとなりつつあることから、TikTok、Apple Music、Snapchatなどの大企業もこれに追随しています。

従来、ブランドは自分たちがどれだけユーザーデータを収集しているかをオーディエンスに知らせることに慎重でしたから、この手法はバリューエクスチェンジという考え方を補強しています。データを開示することはブランドイメージに悪影響を与えると考えられていましたが、楽しい方法で行うことになった今、消費者はその価値を理解し、好意的に受け止めています。

スマートフォンユーザーは、アプリ間を素早く移動し、複数のタスクを実行しているため、自分の行動を意識しなくなることがよくあります。Spotify社の「Wrapped」機能は、同じ情報をもとに、各ユーザーに大きな価値を還元することで大成功を収めました。

オンラインエクスペリエンスマーケティングとデジタル全般

プレイアブルやアプリ内ショッピングのようなアクティブ広告以外にも、ユーザーを惹きつける方法があります。この業界では毎年のように技術が進歩しているため、エクスペリエンス (体験型) マーケティングはオンラインへ移行しています。従来物理的に行われていたエクスペリエンスマーケティングは、現在は行うことができません。

AR (Augmented Reality:拡張現実) やVR (Virtual Reality:仮想現実) は、2021年にようやくブームを迎え、今後はこれらの没入型ブランド体験を創り出す次のステップを見つけることがより重要になります。今後、ターゲティングができない分、アクティブな行動を創出して核心を突くようなインパクトのあるクリエイティブ戦略でそれを相殺することが重要です。

このような取り組みは、モバイルマーケターがコンテクスチュアルターゲティングを維持するのにも役立つでしょう。クリエイティブの種類は多ければ多いほどいいでしょう。動画、静止画、GIF、プレイアブル、ショッピング広告などはいずれもユーザーをアプリに呼び戻すための手段であり、さまざまなデータポイントを最適化することができるでしょう。

結論

モバイルマーケティングにおいて、クリエイティブは常に重要な役割を果たしてきましたが、ユーザーIDの無い新しい世界では、その重要性がより一層高まるでしょう。クリエイティブの計画でバリューエクスチェンジに焦点を当てることで、コンバージョンレートを改善することができるでしょう。

パッシブからアクティブなエンゲージメントへ移行することで広告を目立たせることができますが、万能な方法はありません。自社ブランドに最適なものが見つかるまで、チャネルごとに色々試してみてください。これは、長期的な顧客となりうる人との最初のタッチポイントとなる可能性があることを常に意識しましょう。